未経験からWebデザイナーに転職したい方に向けて、Webデザイン、Web制作・ウェブサイト運用歴 17年以上の経験があり、Webデザイナー上がりの現役Web業界人であるルジュが、以下の内容について現場に身を置いている立場からリアルな情報をお伝えします。
- Webデザイナーとは
- 仕事内容
- 年収
- 将来性
- Webデザイナーになったあとのキャリアアップ
- Webデザイナーに向いているかの適性
- 未経験からWebデザイナーになるには
- 経験者、未経験者向けのWebデザイナー求人に関する情報
Webデザイナーとは?

まず、「Webデザイナー」とは、基本的には「Webサイトをデザインする仕事」ですが、Webデザイナーの定義が会社によってバラバラというのが実態です。まずはこの点について解説します。
会社によってこんなに違う! “Webデザイナー”の仕事
求人・転職サイトで「Webデザイナー」と検索したり、「Webデザイナー」カテゴリで表示される求人内容を確認すると、職種名や仕事内容が会社によって異なっているのが分かります。
Webデザイナー関連職の表記例と実際の仕事内容
以下は、Webデザイナーの経験者向け、未経験者向け求人がともに多い「Green(グリーン)」において「Webデザイナー」の分類で掲載されている求人の職種名です。
- UI/UXデザイナー
- フロントエンドエンジニア
- WEBデザイナー兼コーダー
- ECサイト販売ページデザイナーホームページ作成
これらの求人内容を確認すると「Webサイトのデザイン」ではなく「スマホアプリのデザイン」であったり、Webサイトのデザイン業務はほとんど無いと思われる、HTMLやCSS、JavaScript等でのコーディングのみの仕事が含まれています。
次にご紹介するのは、ハローワークで掲載されているWebデザイナー関連の職種名です。
- WEBクリエーター
- ウェブデザイナー
- デザイナー・クリエーター
- Macデザイナー・クリエイター
これらの仕事内容を見てみましょう。
WEBクリエーター
自社サイトの企画、デザイン、更新業務等当社で運営しているWebページ/HP他の構成の変更や運用管理
・Web上での新規企画など紹介ページの作成及びメンテナンス
・社内システムに関してもお手伝いいただきます
この求人では自社で運営しているWebサイトの「Web担当者」としての求人ですね。
「社内システムの手伝い」という業務もあるようで、データーベースの管理などもするのでしょうか?
ウェブデザイナー
自社のECサイト(楽天、ぐるなび公式)の運営業務です。
・サイト内で使用する画像の編集、修正
・webサイト全体のデザイン、外部出稿用バナーの作成、キャンペーン時のバナー、サイトTOP画像の作成
・新商品追加時の商品画像の作成
こちらは自社サイトの「Web担当者」の中でも「ネットショップ運営担当者」です。
私も同様の業務を経験していたことがあるのですが「ウェブデザイナー」という職種名ではあるものの、業務のうちWebサイトのデザインに関わるのは10分の1程度で、細かい修正や運用に関わる仕事が大半です。
デザイナー・クリエーター
【グラフィックデザイン】
・紙媒体を中心としたDTPデザインからホームページなどのWEBデザイン。
・クライアントとの打合せから、企画、デザイン、入稿、引き渡しまで携わるディレクション。
こちらの業務は印刷物のデザインからWebのデザインまで幅広く、ディレクター的役割もこなす、かなり広い仕事内容です。
私は印刷業界からスタートしているので紙媒体でのデザインも経験ありますが、デザインの基本は変わらないとは言え、印刷物とWebサイトでは、見せ方の特徴やソフト内での設定、表示に関するルールなどのクセが結構違いますので、広範な知識と技術が求められます。
Macデザイナー・クリエイター
Macオペレーター・デザイン業務、Webデザイン。
県内情報フリーペーパー、県・市・町誌等の作成や発行をしている元気な会社です。あなたの斬新なアイデア・ビジュアル表現を多くの方に伝えて下さい。
こちらもWebデザインの他、紙媒体のデザインもあるようですね。昔から「Macデザイナー」という場合は印刷物のデザイナーを意味することが多いです。
次に、ハローワークで「Webデザイナー」という職種名で掲載されていた求人内容もご紹介します。
Webデザイナー
(ホームページ制作スタッフ)
*HP、パンフレット、チラシ制作業務
・Webデザイン、コーディング、HP運用、企画、打合せ
・写真撮影、加工
・市内の店舗や施設への取材、営業
「Webデザイナー」という職種名でも書かれている仕事内容は、パンフレットやチラシの制作もあり、取材や営業まで含まれています。
Webデザイナーの仕事内容は会社によって異なるのでミスマッチに注意
傾向として、IT業界やWeb業界に強い転職・求人サイトでは、より「Webデザイン」を中心とした「Webデザイナー」求人が多い傾向にあり、一般的な転職・求人サイト、ハローワーク等では、「Webサイトに関わることなら何でもこなす“Webデザイナー”」求人が多い傾向にあります。
今回ご紹介した職種名と仕事内容の例は特殊な例ではなく、実態としてこのようなケースが多いです。
特に中小企業や零細企業ではこの傾向が強く、Webデザインが中心の仕事をしたい場合は、「自分がやりたい仕事と実際の仕事内容に乖離が無いか」に注意して、ミスマッチにならないように注意が必要です。
Webデザインまわりに限定した“Webデザイナー”でも仕事内容が異なる

本来は“Webデザイナー”を“Webデザインまわり(=Webデザイン周辺の業務)に限定する”ということ自体がおかしな話なのですが、実態として印刷物のデザインを求められたり、営業の業務まで求められているケースもあるというのは前述の通りです。
このような実態をもとに「Webデザイン業務周辺に限定したWebデザイナー」について解説しますが、細かく分類するとここでも仕事内容が異なります。
Webデザイナー 6つの分類
勤務先 | 対象 | メイン業務 | 内容 |
---|---|---|---|
Web制作会社 | 【1】お客様のWebサイト | 制作 中心 |
Webサイトのデザイン、制作中心 |
【2】お客様のスマホアプリ | スマホアプリのデザイン、制作中心 | ||
事業会社 | 【3】自社サイト全般 | 制作 中心 |
自社サイトのデザイン、制作中心 |
【4】自社スマホアプリ | 自社スマホアプリのデザイン、制作中心 | ||
【5】自社サイト (ネットショップ/ Eコマースサイト) |
運用 中心 |
自社サイトのデザイン、制作から運用まで幅広く対応 修正・改善・アクセス解析・広告管理等 特にネットショップでは顧客対応、梱包、発送、商品管理等も含まれる場合あり |
|
【6】自社サイト (ネットショップ以外) |
次に各分類について解説します。
【1】Web制作会社勤務でお客様のWebサイトを制作するWebデザイナー
一般的なイメージに最も近いWebデザイナーです。お客様のご要望を把握し、Webサイトをデザイン、HTMLやCSS、JavaScript等の言語を用いコーディングします。
お見積りや契約まわり、Webサイトの方向性や仕様の策定から携わり、ディレクション業務を兼務する「Webディレクター兼Webデザイナー」という立場の方もいます。
中小のWeb制作会社だと専任のWebディレクターがおらず、Webデザイナーがディレクションを行うケースも多いです。
大きめのWeb制作会社だと「Webコーダー」や「HTMLコーダー」、「コーダー」、または「フロントエンドエンジニア」と呼ばれるコーディング専門のスタッフが配置されている場合があります。
基本的にコーダー職はWebデザイン業務はしませんので、コーダーがいる会社では、WebデザイナーはWebデザインに専念、コーダーはHTMLコーディングに専念という形で、分業されています。
ですので、「Webデザインばかりしていたい」という方は、コーダーが在籍しているWeb制作会社を選びましょう。
逆に、Webデザイナーになりたいのに、コーダー職で採用になった場合は、業務としてWebデザインをする機会がほとんどなく、コーディング業務ばかりになってしまうので注意が必要です。(未経験からWebデザイナーを目指す場合に技術習得目的でコーダーからスタートするというのはアリかもしれません)
どちらにしても、コーダーの存在有無に関係なく、Webデザインと制作が中心の業務なので、主にWebデザインを仕事としたい方はこのような求人を選びましょう。
【2】Web制作会社勤務でお客様のスマホアプリを制作するWebデザイナー
厳密に言うとWebデザイナーではないのですが、最近の求人サイトでは「Webデザイナー」と検索するとスマホアプリのデザインが含まれる求人情報がヒットされるようになってきました。
このような場合、職種名に「UIデザイナー」や「UXデザイナー」と表現されることがあります。
- “UI”とは「User Interface(ユーザー インターフェース)」の略で、「UIデザイナー」は主にユーザーの操作感を最適化するためのデザインが求められる仕事
- “UX”とは「User Experience(ユーザー エクスペリエンス:和訳すると「ユーザー体験」)」の略で、「UXデザイナー」は主に、Webサイトやスマホアプリを使ってみて、ユーザーが心地よいと感じて満足してもらえるように全体や様々な要素を最適化するためのデザインが求められる仕事
UIデザイナーは「感覚の最適化」を、UXデザイナーは「感情(満足感)の最大化」を目指すデザイナーと考えると分かりやすいかもしれません。
「UIデザイナー」「UXデザイナー」はともにスマホアプリだけではなく、Webサイト制作でも専任のスタッフを配置している会社もあります。
また、「デザイナー」「UIデザイナー」「UXデザイナー」が別々に存在して分業している会社もありますが、兼務しているケースも多く、中小のWeb制作会社では一人でこなすことも珍しくありません。
仕事内容の考え方としては前述の「【1】でのお客様のWebサイト」を「スマホアプリ」に置き換えて考えれば分かりやすいと思います。
違いとしては、Webサイト制作の最小構成が「デザイン+コーディング」であるのに対し、スマホアプリ制作では、「デザイン+コーディング+プログラミング」というように、プログラミングが必ずあるという点です。
ですので、メンバーとしてはWeb制作では「デザイナー+コーダー」(デザイナーが兼務する場合もあり)に対し、スマホアプリ制作では「デザイナー+プログラマー」という構成が多いです。コーディングの一部はデザイナーとプログラマーで分業することもありますし、プログラマーのみで行うこともあります。
なお、この場合のプログラマーは、求人サイト上の職種では「バックエンドエンジニア」「iOSエンジニア」「Androidエンジニア」となっていることがあります。
この職種はスマホアプリのデザインが主となり、あくまでもWebサイトのデザインをしたいという場合はミスマッチになるので、ご注意ください。
【3~4】事業会社勤務で自社サイト、スマホアプリを制作するWebデザイナー
他社のWebサイトやスマホアプリではなく、自社サイトや自社のスマホアプリを制作、運用している会社のことを「事業会社」と言います。
仕事内容自体は【1~2】とほとんど変わりません。
大きな違いとしては、他社の制作であれば様々な案件に携われますが、自社の制作では携われる案件の種類が限られる点です。
また、お客様都合でスケジュールが動きやすい他社案件に対し、自社案件はスケジュールが調整しやすいので、制作会社よりも事業会社の方が残業や休日出勤などの負荷が少ない傾向にあります。
Web制作会社勤務と事業会社勤務のメリットやデメリットについては以下の記事で詳しく解説しましたので、合わせてご覧ください。
» Web制作会社と事業会社のどちらのWebデザイナーを目指すべき?
【5】事業会社勤務で自社サイト(ネットショップ)を担当するWebデザイナー
自社で運営するネットショップ(Eコマースサイト)担当者のケースで、最近のWebデザイナー関連求人の中でも多くなってきた仕事です。
このケースでも「Webデザイン」「コーディング」「運用」で専任の担当者を分けて配置し分業しているケースもありますが、比較的大きなネットショップでの体制で、中小のネットショップでは、全て一人で兼任するというのが多いです。
ネットショップでは一度立ち上げたら、サイト全体のデザインは基本的に終わりで、リニューアルでもない限りは、修正や新商品の追加、広告管理、改善などの運用面の仕事がほとんどとなります。
また、メールや電話での顧客対応、商品管理(在庫管理、商品の受発注など)といったお店の運営に関わるほとんどを任されることも少なくありません。
ネットショップはWeb担当者の中でもちょっと趣の違う仕事で、どちらかというとお店の店員になって接客はWebでしているという感覚が強く、「販売員や営業職」に近いイメージです。
ですので、デザイン力や制作力よりも売上を求められる傾向にあります。
こちらも、Webサイトの制作を中心に仕事をしたいのであれば、ミスマッチになる可能性が高いので注意が必要です。
【6】事業会社勤務で自社サイト(ネットショップ以外)を担当するWebデザイナー
こちらの仕事は【5】のネットショップ以外で、主に法人向けのWebサービスや、法人・個人向けのWebメディア運営となります。
規模によっては、デザイナー、コーダー、プログラマーなどで分業をしています。
ネットショップ同様、一度Webサイトを立ち上げるとリニューアルはほとんどありませんので、アクセスアップなどの集客や、Webサイトからのお問い合わせを増やすなどのコンバージョン率(成約率)を向上させるためにアクセス解析等で分析し、ページの修正や改善などを繰り返す運用業務が中心となります。
こちらの職種もWebデザイナーとはいえ、実際の業務はデザイン以外が多いので、Webサイトのデザインや制作を中心に仕事をしたい場合はミスマッチになりますので注意しましょう。
以上が、Webデザイナーの6つの分類に対する解説です。
なお、「ミスマッチ」という言葉が何回か登場しましたが、私としてはWebデザインを中心とする業務よりも幅広い業務を経験していった方が将来的に、より稼いでいけると考えていますので、どうしてもWebデザインや制作以外は興味が持てない場合は仕方ありませんが、積極的に様々な仕事にチャレンジしてみることをオススメします。
この点については後述の「Webデザイナーの年収」や「Webデザイナーの将来」、「キャリアアップ」をご参考ください。
Webデザイナーは「ブラック」か?
WebデザイナーもそうですがWeb系やIT系の仕事や企業に対して、以下のようなイメージを持たれている方が多いと感じています。
- ブラックな仕事が多いのではないか
- ブラック企業ばかりではないか
確かにWebデザイナーも含めてWeb業界にはブラックな仕事やブラック企業が多いのは否定できません。
ただ、WebデザイナーやWeb業界でもホワイトな仕事やホワイト企業はありますし、Web業界以外でもブラック企業はたくさんあります。
私自身の実体験を含めて、以下の記事で詳しく解説しましたので、合わせてご覧ください。
» Webデザイナーは「ブラック」か? Web業界とブラック企業の実体験を話そう
Webデザイナーの仕事内容

これまで「Webデザイナーとはどのような職業であるか」を現場の実態に即して解説してきましたが、求人を出している会社によって仕事内容にかなりの違いがあるということがお分かりいただけたかと思います。
まずこの状況を理解していないとWebデザイナーの仕事内容をうまくお伝えできないと判断し、Webデザイナーを6つの分類に分けてご紹介しました。
各分類ごとに異なった仕事内容がありますが、共通するものもあるので、ここではどのような求人でも共通する仕事内容をご紹介します。
仕事内容の一覧
Webサイトを制作するにあたり、まずすべきことは「Webサイトの目的やユーザーを明確にすること」なのですが、この部分はWebデザイナー以外が責任を負っていることも多く、「共通する仕事」ということで考えるとWebサイト制作に直接関わる部分がメインになりますので、このような前段階の仕事は済んでいるという前提で仕事内容を一覧にすると以下のようになります。
- Webサイトの構成を考える
- ページのレイアウトを考える
- Webサイトをデザインする
- コーディングをする
1.Webサイトの構成を考える
Webサイトの目的やユーザー像を明確にした、という前提で、次にWebデザイナーがやるべきことはWebサイトの構成(サイトマップ)を考えることです。
あらかじめWebサイトにどのようなコンテンツが必要かを関係者と打ち合わせをして、Webサイトの目的を達成させるために必要な、トップページからの階層構造を考え、決定します。
2.ページのレイアウトを考える
Webサイトの構成が決まったら、次にトップページやカテゴリトップ、下層ページにどのようなコンテンツ、要素を配置するか、ページのレイアウトを考えます。
これらのレイアウトはページの配置図とも言えるもので、業界用語で「ワイヤーフレーム」と呼ばれています。
ですので、「レイアウトの作成」=「ワイヤーフレームの作成」という表現になります。
ワイヤーフレームは四角の線と何を配置するかを文字で示すだけのシンプルなもので、以下のような、Webデザイナーが使い慣れたソフトやツールで作成します。
- Microsoft Excel(エクセル)やPowerPoint(パワーポイント)などのオフィス系のソフト
- Illustrator(イラストレーター)などのAdobe(アドビ)のソフト
- Web上にある無料のワイヤーフレーム作成ツール
3.Webサイトをデザインする
Webサイトの構成やワイヤーフレームが確定すると、いよいよWebサイトのデザインに入ります。
まず、以下のようなグラフィック系のソフトを使ってデザイン案を作成します。
- Adobe Illustrator(イラストレーター)
- Adobe Photoshop(フォトショップ)
- Adobe Fireworks(ファイアーワークス)
デザイン案のことを「デザインカンプ」と言い、略して「カンプ」とも呼ばれています。
完全なカンプ作成を求められている場合は、トップページ、カテゴリトップ、下層ページの3種類を、デバイス毎に、パソコン用、タブレット用、スマートフォン用を2~3案ずつ作成することがあります。
このようなケースだと、ページ3種類×デバイス3種類×デザイン案3種類で27ページ分のカンプ作成が必要となり大変な作業量になるため、どこまでカンプが必要か、事前に関係者と入念な打ち合わせが必要です。
場合によってはPC版のトップページのみ、カンプを2~3案作成し、デザインの大まかな方向性が確定してから、カテゴリトップや下層ページ、各デバイス毎のデザイン案を作成するという進め方もあります。
4.コーディングをする
デザイン案が確定したら、ブラウザで表示させるためのコーディングに入ります。
WebサイトやWebページは、パソコン・スマホ等で以下のような「Webブラウザ」と呼ばれるアプリケーションを用いて表示、閲覧します。
- Microsoft(マイクロソフト)「Internet Explorer(インターネットエクスプローラー)」
- Google(グーグル)「Chrome(クローム)」
- Mozilla(モジラ)「Firefox(ファイアフォックス)」
- Apple(アップル)「Safari(サファリ)」
ブラウザにWebページを表示させるためには、専用のコンピューター言語が必要です。
文書構造に「HTML言語」を用い、見た目の制御に「CSS言語」、ページ上で特殊な動きをさせるために「プログラミング言語であるJavaScript」等を適宜利用しながらWebサイトやWebページをコーディングしていきます。
HTML
HTML(エイチティーエムエル:HyperText Markup Language/ハイパーテキスト マークアップ ランゲージの略)は、WebブラウザにWebページを表示させるために用いるコンピューター言語で、HTMLタグを使って文書構造を定義します。
文書構造と対応するHTMLタグには以下のようなものがあります。
- Webページのタイトル:<title>タグ
- 大見出し:<h1>タグ
- 段落:<p>タグ
- リンク:<a>タグ
Webページ上の文字の大きさや色などの装飾はHTMLでも可能ですが、今日のWeb制作では、HTMLではWebページの各要素に対して「どのような意味があるのか」を定義することに専念させ、装飾についてはCSSで制御するのが主流です。
CSS
CSS(シーエスエス:Cascading Style Sheets/カスケーディング スタイル シートの略)は一般的に「スタイルシート」とも呼ばれ、HTMLで定義された文書構造に対して、各要素の配置や文字の大きさ、色などの見た目の装飾を制御する「スタイルシート言語」です。
CSSはHTML上で直接記述できますが、多くの場合は、HTMLファイルとは別に「CSSファイル」を作成し、HTMLファイルからそのCSSファイルを読み込ませてHTMLの装飾を制御します。
JavaScript
JavaScript(ジャバスクリプト)はプログラミング言語のひとつで、Webページに特殊な動きや動作をさせる際に用います。
例えば、Webページを下にスクロールさせると画面下部に「上へ戻る」ボタンが出現し、そのボタンをクリックすると画面上部へスムーズにスルスルっと戻る動きがありますが、このような動きをさせるにはHTMLやCSSでは実現できないため、JavaScriptを利用します。
JavaScriptを利用する際は、ゼロからJavaScriptのプログラムを組むことは少なく、「jQuery(ジェイクエリー)」と呼ばれる、JavaScriptライブラリを用いることが多いです。
jQueryは、Webブラウザ用にJavaScriptコードを簡単に記述できるように設計された軽量なJavaScriptライブラリで、様々な動作が可能となるサンプルコードがネット上で多く公開されていますので、それらを参考にしてWebページに実装できます。
jQueryもCSS同様に、基本的には別ファイルとしてサーバー上にアップし、HTMLから読み込ませて利用します。
(ネット上にあるjQueryのファイルを参照して利用することも可能)
以上が、どのような立場のWebデザイナーでも共通する仕事内容になります。
より詳細なWebデザイナーの仕事内容や流れについては以下の記事で解説しましたので、合わせてご覧ください。
» Webデザイナーはどんな仕事? 流れや実態など仕事内容を詳しく解説
Webディレクター、アルバイト・未経験者の仕事内容
Webデザイナーと密接に関係するWebディレクターや、アルバイト・未経験者としてWebデザイナーになった際の仕事内容について解説します。
Webディレクターの仕事内容
Webディレクターはその名の通りディレクション業務がメインで、Web制作会社ではお客様とWebデザイナーの橋渡し役。
事業会社でのWebディレクター職もあり、この場合は事業責任者とWebデザイナーの橋渡し役です。
Webディレクターは基本的に制作業務にはタッチしないことが多いですが、中小のWeb制作会社などではWebディレクターとWebデザイナーを兼任しているケースもあります。
Webデザイナー経験があるWebディレクターの場合は、繁忙期など制作業務が集中している際にWebデザイナーを助けるため、制作に入ることも。
ディレクション業務には以下のようなものがあります。
- 契約まわりでお客様と折衝
- Webサイトの要件定義
- Webデザイナーへの指示
- トラブル対応
Webディレクターと営業職の違い
会社によって役割分担が違ってくるのですが、多いケースでは、受注までが営業職の仕事、それ以降はWebディレクターが担当します。
他のケースとしては、営業を兼任するWebディレクター職もありますし、営業がWebディレクターに見込み客を紹介し、企画・提案やクロージングからWebディレクターが担当することもあります。
Webデザイナー(アルバイト・未経験者)の仕事内容
アルバイトとしてWebデザイナーになった場合や、未経験からWebデザイナーになった場合の仕事内容は、基本的には先輩Webデザイナーの補助的な業務から始まります。
具体的には以下のような仕事内容です。
- ボタンやパーツの作成
- バナー画像の作成
- フォトショップを使った写真の切り抜き
- Webブラウザでの表示チェック など
経験を積みながら、スキルに合わせて、少しずつ難易度の高い仕事になっていきます。
Webデザイナーの年収

求人・転職サイト『DODA(デューダ)』で「平均年収ランキング2015」が公開されています。
このデータでは、Webデザイナーの年収は“340万円”となっています。
また、ハローワークの未経験可のWebデザイナー求人から私が独自に年収を調査したところ、概算になりますが、ボーナス(賞与)ありの会社で“321万円”、ボーナス無しだと“279万円”でした。
「平均年収ランキング2015」における全職種の平均年収は440万円とのことで、Webデザイナーの年収は全職種の平均よりも100万円ほど低い結果となっていますが、WebプロデューサーやWebディレクターにキャリアアップすれば平均年収が451万円となり、全職種平均を11万円上回りますので、悲観する必要は全くありません。
Webデザイナーの年収に関しては、以下の記事で詳細の解説をしましたので、合わせてご覧ください。
» Webデザイナーの年収は低い? 平均年収データまとめ
» 未経験可のWebデザイナー求人72件から年収や月給、賞与などをまとめました
Webデザイナーの将来

Webデザイナーの将来について、まず市場を見てみるとWeb業界自体は成長し続けており、今やインターネット関連の広告費は、新聞や雑誌、ラジオを抜き、テレビに次ぐ規模となっています。
Webデザイナーが属するWeb業界やIT業界は成長産業ですので、うまく仕事を掴むことができれば他の業界よりも将来性があると考えています。
ただ、Webデザインを中心としたWebデザイナーのみで年収を上げ続けるのは、よほどデザイン力があるなどの強みがなければ難しいかもしれません。
というのも、現時点でのWebデザイナー求人を見ても分かる通り、Webデザイナーにはデザイン以外の能力も求められており、今後は、今まで以上に多岐に渡る能力やスキルが求められていくと考えられるからです。
逆に、Webデザイナーからスタートして経験を積み、知識や技術を高め、WebディレクターやWebプロデューサーなどにキャリアアップを目指していくという前提であれば、年収や給与面を上げていく余地は大いにあります。
Webデザイナーから今後どうしていきたいのか将来像をイメージして、将来設計を描きながら、自分が望むキャリアアップをしていけるように日々学習や努力を続けていきましょう。
Webデザイナーの将来に関しては以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
» Webデザイナーに将来は無い? 将来性や将来設計について現実的に語ります
キャリアアップ

Webデザイナーになった後のキャリアアップには以下のような5つの方向性があります。
- 主にデザイン面でのWebデザイナーとして極める
- Webデザイナーを束ねる管理職
- Webディレクター
- Webマーケッター
- Webプロデューサー
大手企業であれば更に細かい職種もありますが、中小企業を含めた一般的なキャリアアップの方向性は上の5つのどれかになることが多いです。
次に上記の5つについて解説します。
1.主にデザイン面でのWebデザイナーとして極める
デザイン力を極限まで高めることでキャリアアップを目指すタイプ。デザイン力をもう少し具体的に言うと「デザインを用いて問題解決できる能力」となります。
右脳的なセンスと合わせて、左脳的な論理や理詰めの能力が求められます。また、同時に消費者心理を的確に捉えるマーケティング力も備わってないと問題解決はできないでしょう。
勤務先は東京をはじめとする大都市の大手デザイン会社や大手の広告代理店がメインとなり、狭き門となります。(独立してフリーランスで活動するという道もあり)
今回ご紹介している5つのキャリアアップの方向性の内、高収入を得るための難易度が最も高いかもしれません。
2.Webデザイナーを束ねる管理職
Webデザイナーが最もキャリアアップしやすい次の道が管理職。Webデザイナーが所属する部署の部長や課長、マネージャーなどです。
Webデザインの制作能力にプラスして、今度は人を動かして成果を出すという、それまでとは全く違う能力が求められます。
プレーヤー的感覚では大きな成果は出せませんので、まわりで結果を出している管理職から指導を受けたり、本などで学習し、試行錯誤をしていくことになります。
3.Webディレクター
管理職の次に多い道がWebディレクターです。Webディレクターで最も必要とされる能力はコミュニケーション能力。
お客様や自社のWebデザイナーなど、関係者の中心で最高のWebサイトを形にするために「翻訳と調整」をし、スムーズにプロジェクトが進行できるよう導くのが仕事です。
前述の「Webディレクターの仕事内容」もご参考ください。
4.Webマーケッター
Webマーケッター(Webマーケティング担当者)は、Webサイトを使って商品やサービスの販売、問い合わせ数などを増やすために分析・施策立案・実施をします。
Webデザイナーはこのようなマーケティング業務をほとんどしないことが多いので、自分でサイトを作って運営するなどをして独学をしつつ、未経験可能なWebマーケッター求人を探して潜り込むか、未経験可のネットショップ(Eコマースサイト)担当者求人に応募してそこでマーケティングの知識やノウハウを蓄積するというような進み方があります。
WebマーケッターはいわばWebサイトやネットを使った営業職に近く、商品の販売や問い合わせ数を増やせるノウハウがあれば、いつの時代でも必要とされる普遍的な能力なので将来性があり、年収を増やしていきたい方には最も挑戦のしがいのあるキャリアです。
5.Webプロデューサー
会社によって細かい役割が違いますが、主にはWebサイトの企画をして商品やサービスの販売をする、問い合わせ数を増やすまで全体の面倒を見るのがWebプロデューサーの仕事です。
Webプロデューサーという名称でなくても、事業責任者や部長が同じような役割を担っていることも多いです。
WebプロデューサーはWebマーケッター同様に、制作とは違い営業職的感覚が必要なので、まずはWebマーケッターやネットショップ担当者、Web担当者のような職種を経験してからWebプロデューサーを目指した方が結果を出しやすいです。
Webデザイナーになるには

さて、これまでWebデザイナーの特徴や仕事内容を中心にご紹介してきましたが、次からはWebデザイナーになる方法について解説します。
適正
まずは、Webデザイナーに向いている方、適正について解説します。
これは簡単に分かるのですが、ズバリ、
「仕事でもないのにWebサイトを作って運営している方」
が最もWebデザイナーに向いています。
言い換えると、それだけWebサイトを制作することが好きという事なので、常に新しい技術やサービスが出てくるWeb業界において、自発的に日々情報をキャッチアップしたり、勉強したりするでしょうから、知識や技術の向上が望めますし、コーディング時の意図しない表示等のトラブルにも粘り強く対応できるのではないかと期待できます。
このWebデザイン、Webサイト作成が好きかどうかに関して、以下の記事で詳しく解説しましたので、合わせてご覧ください。
» 未経験からWebデザイナーを目指している方に質問。本当に好きなの?
また、「Webエンジニア」という名称に何か惹かれるものを感じる……という方は以下の記事もご参考ください。
» WebデザイナーとWebエンジニアはどちらが向いている?
未経験からWebデザイナーになるには?
まず、「未経験ではWebデザイナーになれないのではないか?」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、未経験でもWebデザイナーになれます。
私自身、未経験からWebデザイナーになりましたし、Webデザイナーを採用する側として面接をしたこともありますが、職業訓練で学んでいた実務未経験の方がWebデザイナーとして採用に至ったケースもありました。
前職がデザインとは全く関係ない職業でもWebデザイナーになることは不可能ではありません。この点については以下の記事でも解説していますのでご覧ください。
» デザインと全く関係無い職種からWebデザイナーに転職できるの?
私が未経験からWebデザイナーなった際の体験談や、ブログ記事のご紹介、6つのステップ、独自の戦略については以下の記事で解説してありますので、合わせてご覧ください。
» 26歳で未経験からWebデザイナーになった私の体験談
» 未経験からWebデザイナーになるまでを綴ったブログ記事5選
» 未経験からWebデザイナーになるための6つのステップ
» 未経験からWebデザイナーを目指すための「独自の戦略」
必要な知識、何からすべきか
Webデザイナーになるための事前準備として、Webデザインや制作に関する知識、スキルの習得が必要になりますが、まず、ぜひともやってみてほしいのが、とにかく
「Webサイトを作って運用してみる」
というのが、Webデザイナーを目指している全ての方に対する私からのアドバイスです。
この点については以下の記事で詳しく解説しましたので、ご覧ください。
また、既にWebデザインの基本やHTML、CSSを使ったコーディング、グラフィックソフトの使い方をある程度学んだ、という方にオススメの学習法として、「Webサイトを作って運用すること」の必要性や有用性を以下の記事で解説しましたので、こちらも合わせてご覧ください。
» HTMLやアドビ系ソフトの基礎を学んだ次にオススメの学習法は?
資格は必要?
Webデザイナーになるのに資格は必須ではありません。資格が無くてもWebデザイナーになれます。
ただ、資格を取得すること自体ムダではなく、資格取得の過程で学んだことは活かされます。
Webデザイナーと資格については、以下の記事で詳しく解説しましたのでご覧ください。
独学かスクールか
Webデザイナーになるための知識や技術の習得は、スクールに通っていても独学はベースとして必要です。
ですので、「独学かスクールか」という二者択一ではなく「独学プラス、スクールに通うか否か」というように考えましょう。
この点については以下の記事で詳細を解説しましたのでご覧ください。
» Webデザイナーになるために独学とスクールのどちらがいいか 元面接担当者はこう考える
独学でおすすめの本
独学で役立つ本について、29人のWebデザイナーさんがご自身のブログで“おすすめ本”として紹介されていた書籍237冊を集計しランキングしました。
多くのWebデザイナーさんがおすすめしている書籍なので、ぜひご参考下さい。
» 【完全保存版】Webデザイナー必読! Webデザイナー29人のおすすめ本237冊を集計しランキングしました
Webデザイナーへの転職・就職活動

理想のWebデザイナー求人に巡り合うためには?
Webデザイナー求人に限らず、あらゆる職種でも当てはまると思いますが、自分が理想とする求人と巡り合うためにはとにかく、たくさんの求人を見る必要があると考えています。
この点については以下の記事で詳細に解説しましたのでご覧ください。
» 転職歴3回の経験者が語るWebデザイナーの転職・就職で、よりマッチする求人に出会うコツ
また、以下の記事では求人媒体別の特徴を解説しました。未経験の方向けに解説したものですが、転職回数が少ない方にも参考になると思いますので、合わせてご覧ください。
【大学生向け】Webデザイナーになる方法
大学生は社会人よりも時間の都合が付けやすいので有利な環境です。時間を有効活用して、Webデザイナーのアルバイトをしながら就職活動をするのがオススメです。
こちらについては、以下の記事で解説しましたのでご覧ください。
ポートフォリオ
Webデザイナー求人に応募する際、ポートフォリオの制作・提出は必須です。書類選考でもポートフォリオは重要な判断要素になりますし、面接時はポートフォリオの内容をプレゼンして、アピールしなければなりません。
以下の記事では、ネット上で公開されているスクールの学生さんが作成されたポートフォリオをまとめています。
未経験からWebデザイナーを目指している方や新卒の方は、ポートフォリオの見本として参考になりますので、ぜひご覧ください。
志望動機
応募書類に必要な志望動機ですが、私自身、採用側としてWebデザイナーの書類選考をする立場で志望動機を見ていると、ありきたりでつまらない志望動機が少なくありませんでした。
志望動機に対してどのように考え、記載すれば選考側に響く志望動機となるのかを以下の記事で詳しく解説しましたのでご覧ください。
» 未経験からWebデザイナーに応募する際の志望動機は何を書けば採用されるのか?
» 書類選考で不採用になる方へ。絶対書いてはならない1つの観点